内閣総理大臣賞
- 約200年の筆づくりの歴史を持つ町・広島県熊野町において、5代目の筆づくり職人として伝統技術を生かし、これまでにない肌触りで自在に化粧品を操れる「化粧筆」を開発。流通ルートと市場を開拓し、業界に一石を投じると共に、量産化のための創意工夫を重ね、本社内の自社工場で月産50万本、世界シェアで約60%を占めるに至った。 大手化粧品メーカーのほとんどにOEM供給(相手先ブランドで販売される製品を生産)しており、世界中で愛用されている。 さらに、筆メーカーとしては、いち早く自社ブランドを育成。インターネット販売・直販に取り組んだ先駆者でもあり、その製品は日米欧各国で固定客を着実に増やし続けている。

正直、こういう賞をもらえるとは全然思ってなかったですよ。自分としては、長らくやってきたことが、ひとつ認めていただけたということで特別な変化はないんですけど、いい置き土産になりましたね (笑) 。本来、私は表に出るのが苦手なのですが、ただ「自分がこうしてますよ」ということは世にアピールすべきですし、それは非常に大事なことです。日本人は生来、それが下手でしょう。
こと伝統分野となると、それが美徳であったりさえする。筆づくりの世界は、千数百年以上の歴史がありますが、ここでの日本の技術は世界一だとずっと思ってやってきましたし、これからもそうありたい。日本人独特のものづくりに対する感覚は他国にはないもので、伝え守らないといけないのです。もっと表に出るために、自分たちの技術を発展させるために、この賞はいいきっかけになると思います。
いわゆる“筆の味”がわかるまでには、最低でも10年はかかる厳しい世界ですから、後継の問題は深刻ではありますけど、遠く地方から「好きで」修業に来てくれる若い人も出始めています。筆も工業製品だ、みたいなことを言われたらおしまいですからね。これからは、「人づくり」に全力を傾けること、それが私の使命だと考えています。
受賞者(代表) | 髙本 和男(代表) |
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