第1回受賞者

内閣総理大臣賞

世界初エジェクタサイクルの開発・実用化
エアコンや冷凍機の構造は、圧縮・液化した冷媒を、室内機の内部で膨張・気化させることで、空気から熱を奪って冷やし、その気化した冷媒を外部で圧縮・液化させて熱を排出するという仕組み。この冷媒の循環をコンプレッサー(圧縮機)が行う。冷媒を膨張するのは膨張弁の役割だが、この時に管の内部では渦が発生し、運動エネルギーが無駄に失われている。 そこで、渦を抑えて、その運動エネルギーをコンプレッサーの動力低減に利用するのがエジェクタサイクルの原理。 冷凍機や冷蔵庫、エアコンなどに搭載すると、エネルギー効率を劇的に向上させる効果がある。

(株)デンソー 熱システム開発部室長 武内裕嗣さん

受賞者の声

自分たちが開発したものが人々の生活を変える、世の中を変えるかもしれない……これこそが技術屋の冥利です。今回受賞した「エジェクタサイクル」は、過去に多くの研究者が挑戦しては頓挫してきた技術ですから、周りは眉唾ものだったと思うんですけど (笑) 。僕はラッキーでしたね。めったに出会えない“女神”をつかまえた感じ。そしてメンバーや上司にも恵まれました。

数々の賞を受賞しましたが、ものづくり日本大賞は、研究開発から製造まで一連の活動を評価いただいたという点で、一番嬉しかった。発明賞、技術賞などとはまた違って、全般の工程に加え、ビジネスとしてもどうか、という総合力を評価してもらえたわけですから。

受賞後、うちのグループ会社のトップ、全役員の前で発表する機会を得て、社内外共に将来的に高く注目されている技術であることも実感できました。実際に搭載実績も増えて、製品全体の売り上げとしてはけっこう伸びているのではないでしょうか。エネルギー環境面からアメリカなどの先進国から引き合いも多くなってます。日本はものづくりの国。この技術を世界に広げていきたい。デ・ファクト標準として、知らないうちに世界中で使われているようになる、それが夢ですね。

受賞者(代表) 武内 裕嗣(代表)、池本 徹、尾形 豪太、川村 進、榊原 誠、中西 幸則、西嶋 春幸、真木 孝昌、松永 久嗣、水鳥 和典
所属企業等
●株式会社デンソー
https://www.denso.com/jp/ja/
1949年設立。トヨタ自動車から分離・独立し、自動車の電装部品を製造するメーカーとして日本電装(96年にデンソーに社名変更)は誕生した。日本のモータリゼーションと共に成長拡大し、電気・電子部品だけでなく、エンジンの基幹部品やエアコン、ラジエータなどの熱交換機器を生産。現在ではカーナビなどITS関連の事業も展開し、環境技術の開発にも力を入れている。
【愛知県刈谷市】

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