内閣総理大臣賞
- 従来の織物生産の工程では、縦糸の色柄が変わるたびに、基本的に手作業で5000~1万本の糸を準備する必要があった。大変な手間と時間を要し、たとえば20着でも2000着でも、それに費やすエネルギーはほとんど変わらない。このため、近年ニーズが高まっている多品種小ロット生産を行ううえで、大きなネックとなっていた。 機械商社である片山商店が、京都工芸繊維大学、兵庫県立工業技術センター、村田機械、それに地元企業と共同で「内閣総理大臣賞」を受賞した世界初の織物生産システムが、その問題を解決した。 最高9色を任意の長さでつないだ縦糸をつくることができ、糸の交換作業を行わずに、色柄の違う織物を同時に織ることを可能にしたものだ。生産コストは39~81%もダウン、原材料のロスも大幅に減った。

受賞をきっかけに、出身中学で講演をする機会をいただきまして。百数十人の生徒の前で、約1時間。事前に校長先生から「ウチの生徒は落ち着きがないから、最後までもつかどうか」と言われていたのですが、身近なファッションの話題なども織り交ぜて話したら、みんな真剣に耳を傾けてくれた。そして最後に、生徒の代表が「地元で、こんなに素晴らしい取り組みが行われているなんて知りませんでした。
総理大臣賞は僕たちの誇りでもあります」と言ってくれたのですよ。思わず、目頭が熱くなりました。開発過程では何度も壁に阻まれましたが、あきらめずにやってきて良かったと、つくづく思いましたね。
西脇市は“播州織物の里”ですが、地元でも、例えば国産シャツ地の大半がここで生産されていることを知る人は少ないのが実情です。このままでは、伝統ある産業が本当に廃れてしまう。でも、知恵と努力しだいでは、コスト面においても中国に勝つことだってできるはず。いろんな製造業の現場で、同じような思いを抱いている方が全国には数多くいるでしょう。そんな人たちがこの賞にチャレンジすることで、地場産業を見直し、その新たな可能性を探る動きにつながっていけばと、そう強く願っています。
受賞者(代表) | 片山 象三(代表)、西村 太良、小紫 和彦、藤田 浩行、古谷 稔、美馬 博志、西角 博文、村上 博和、丸山 恒生、竹内 康隆 | |
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